技能工の鏝さばきによる左官工法は、長年にわたって培われてきました。 日本の住まいに対する知恵と伝統の技によって確立された多くの工法は、明治時代に洋風建築工法をも吸収して今なお現代建築にも柔軟に対応し続けています。 住まいの健康や環境保護の観点から見ても左官工法は非常に有効な工法だと言えます。 長くクオリティーを保ち続け、経済的な面でも優れた工法だと考えられます。

 

 

様々なニーズに応える職業「左官」

現代自然素材やオーガニック素材など、食だけでなく身の回りの物への健康も改めて見直されています。 その中で建物も例外ではありません。人に優しい作りをした建築物は居心地が良く長持ちします。 その、自然に優しい物づくりに登場するのが「左官」という職業なのです。

鏝を持って壁を塗るというイメージが多いですがその内容は奥深く、建物の様々なところで活躍しています。 職人の技術により生み出される左官仕上げは、建物や空間の印象に合わせて多彩な表現が可能です。豊かな意匠性だけでなく温式建材の良さは室内空間における調湿効果や消臭効果といった自然素材で機能性に優れています。こうした機能性は、健康志向の高いユーザーにも幅広く知られるようになっています。

 

左官の技術と素材感で見せる主な仕事

  • セメントモルタル セメントモルタル塗り バランスのとれた性能を備え、多様な塗り仕上げが可能 ●ポルトランドセメントと砂を混合し水で練合せた物●強度・耐久性・防火性を備え、内・外部、床、壁、天井工事
  • shikkui しっくい塗り お城の白い壁・湿気の呼吸性・耐熱性に優れ種類も豊富 ●消石灰、糊、スサなどを混入した物●内・外部壁・天井工事※公共工事標準仕様書【しっくいJIS 化】
  • keisoudo 珪藻土塗り 施工性に優れ、自然の風合いを生かした多様な仕上げが可能 ●主にホルムアルデヒドを吸着し分解、調湿機能も優れています。 ●珪藻土の炭素繊維を補強材とした仕上げ材●内・外部壁・天井工事
  • tutukabe 土壁塗り 健康やリサイクルに適した環境共生型の天然素材 ●日本固有の風土や生活様式の中で培われた工法。 ●自然素材、地域産材、木舞壁下地(竹組下地)防火・防水・防音性・調質機能にも優れています。 ●内外壁
  • 洗い出し 洗い出し 混入する種石により、高級建築に適した豊かなエクスチュア表現を提供 ●種石とセメント、石灰を混練りし塗り付け、その表面を水洗いする(セメント系を洗い落とす)天然石のような豊かな表現を創り出す工法。 ●外部の床、壁、塀などの施工。 ●種石には、大磯名、御影石、那智黒石、蛇紋石、他種石がある。
  • 人造研ぎ出し 人造石研ぎ出し 混入する砕石入りを研ぎ出しするので多種多様になります ●種石(砕石)とセメントを混練りし塗り付け、十分硬化後荒研ぎから仕上げ後、仕上げ研ぎする。 ●内・外部壁、床、笠木他に洗い流し造りなどがある。
  • 掻き落とし 掻き落とし仕上げ 優しく深みのある肌合いに質感が高級感を演出 ●モルタルや白セメントの人造石を塗り、塗り付け表面が硬化する前(生乾き)に専用ブラシや鏝で剥ぎ落し自然な風合いで仕上げる ●建築の外壁・塀・柱などに用いる
  • コンクリート
    床コンクリート直仕上げ ●床面にコンクリートを打ち込み表面均し後、ダンバーなどで粗骨材を表面より沈め、同時に定規と木鏝等で平坦に均し水引き具合を見ながら金鏝・機械鏝で仕上げ、刷毛引き粗面仕上げ等をする。 ●床面の広い工場・駐車場等に施工
  • セルフレベリング セルフレベリング工事  ●床専用工法に自己流動性のある材料(セメント系・石膏系)を流し広げ、平滑な床下地面を作る工法です ●一般的にはビル・マンション・学校・病院・工場・等の床下地に最適な工法。
  • タイル貼り タイル貼り ●薄い板状ので、陶磁器質タイルが多い耐久性にも優れ磁器や火石器質のタイルは1000度以上の高温で焼いて製造する。 ●下地はセメント系から木製等で多種下地により接着効果の良い材料で張り付けし、目地セメントで埋める。 ●内・外部の床、壁等の仕上げに用いられる。
  • ぶろっく ブロック積み ●コンクリートブロックは耐久壁から塀壁と施工範囲は広く種類もカラーブロックなど多種製造しています。 ●安心・安全なブロック積みを施工するには、様々な設計基準があります。
  • レンガ レンガ積み ●砂質粘土を成形、乾燥させ焼成したもので、これが普通煉灰建築材料としては赤煉瓦・耐火煉瓦・セメント煉瓦などがある。 ●内外壁・塀・暖炉・ボイラー・煙道などに用いられる。

 

伝統の左官技術

技術革新を繰り返し、新たな価値を創出し続ける左官仕上げ

  • 33 土壁塗 土蔵は物収納・保管する建物として設けられた米蔵・繭蔵・道具蔵・店蔵などに使用。構成は土蔵壁で外部は大壁、内部は直壁に納め、竹組・木舞下地に荒土から中塗り、仕上げは土塗り、しっくい塗りで工程は仕上げ迄10 数回塗り・厚さ15センチ以上になる火災・破壊力に対応する建物
  • しっくい彫刻 しっくい彫刻 主に神社・仏閣の装飾として江戸時代から明治時代の末期にかけて普及。技法は柱掛け・額・欄間飾り等の工芸品を作り出した。工法的には京では彫塑と呼ばれ、しっくいで盛り上げて作品を制作する方法
  • 13 屋根しっくい 屋根しっくいとは、瓦の接合や棟などに用いるしっくいで瓦が風圧等により飛散するのを防止する為行う。大名屋敷普請の際に発生した物と言われ、風雨に強く海岸沿いに多い。
  • なまこ壁 なまこ壁 なまこ壁とは壁面に平瓦を張り、その断面にしっくいをかまぼこ型に塗り上げたもの、しっくい塗り断面が海鼠(なまこ)に似ている事からつけられていると言われている。武家屋敷や長屋門に貼られていた腰板に代わる物として瓦が貼られ断面(目地部)には、なまこ塗り施工がしてある。
  • 31 擬木と擬板 下地鉄筋、ラス下地作り、モルタル下塗り、中塗り、着色モルタルを塗り、樹幹の表面や製木面の木目状態を真似て作る。雨風に強く腐らない利点、公園のベンチや橋、門柱、塀あるいは建物腰壁、内部壁に多く施工される。
  • 32 じゃ腹引き 建物の外部の軒又は胴週り、室内の壁、天井及び切り付け部に施工される操形のことをいう。じゃ腹は洋風建築の移入と共に発達し、建築物の意匠の効果を高める方法として戦前までは多く用いられていた。引き型はブリキを型折し木型に、取り付けは工具で現場引き工法。しっくい、置き引き工法焼き石膏を使用する。

 

 

自然素材の魅力

化学製品や、農薬など現代の私たちの身の回りの住環境は体に影響を及ぼす様々な物質に囲まれています。体に影響を及ぼす症状として「シックハウス症候群」があげられると思います。目の痛みや痒み、鼻水などのアレルギー症状などその症状は様々です。
左官の仕事は古くから伝わる伝統の技術はもちろんですが、こうした症状を緩和するような「天然の素材」を使います。例えば「珪藻土」や「漆喰」などで仕上げられた建物は人体に優しくこうしたアレルギー等の症状が起きにくいとされています。
また、これだけではなく消臭効果や調湿、抗菌などなど魅力的な機能が沢山存在します。一度、伝統の技術と古くから伝わる「天然の素材」を見直してみてください。

 

珪藻土や漆喰の特徴

消臭性

沢山の細かい穴が、ニオイ成分を吸収し無臭化する働きがあります。ペットやタバコのニオイなど気になる生活臭をおさえて室内の空気を快適にする効果があります。

調湿性

無数の細かい穴が、ニオイだけでなく湿気も吸収・放出して快適な湿度にコントロールしてくれます。季節にあわせて居心地のよい室内環境を保ちます。

抗菌性

漆喰の主成分は強アルカリ性。この環境では細菌やカビ菌、ウイルスなどは生息できません。

安全性

シックハウス症候群の原因とされているホルムアルデヒドなどのVOC を吸収分解します。クロスや合板のように接着剤を使用しないのでシックハウス症候群の原因物質を放出しません。

不燃性

素材のほとんどが無機質なので、不燃材として使用できます。万が一の火災時にも有毒なガスを発生させません。

防カビ性

抗菌性があるのでアレルギー症状を引き起こすカビ菌を繁殖させません。カビを餌とするダニの抑制にもなり、アレルギー対策にもなります。