これからの未来へ

「この達成感は職人だから味わえる醍醐味」
左官技能士1 級 施工管理技士1 級・小原達郎さん

顔

中学卒業後すぐに弟子入りし左官の道へ、職人歴は40 年になります。一通りの技術を習得するまでに5~6年はかかりました。“仕事は見て覚えろ”と言われたもので、とにかく見て真似て手を動かし覚えました。昔はよく大声で叱られたものです。先輩方は口下手な職人さんが多く、親方から褒められたという記憶はありませんね( 笑)。「まあまあだのう」が合格ライン!これを言ってもらえたら「良し」ということだと思っています。

施行中

だんだんと仕事が身に付き、若い頃から職長を任せてもらうことが増えていきました。大変なことも沢山経験しましたが、今振り返るとやはり「左官職人になって良かった」と思えます。これまでに自分がした仕事は、小さな現場も大きなビル等の現場も全て覚えています。
一つ一つの仕事をやり遂げるたびに喜びを感じますね。自分がベテランの立場になった今、指導や注意は穏やかにわかりやすく要点を伝えるように心がけ、大きな声はあげないよう気を付けています。今は“見て覚えろ”という時代とは変わって来ていますから。
左官の仕事は、とにかく年数を重ねるほど必ず技術が上達します。身体を動かすことが好きな人は特に上達が早いと思います。お客様から「綺麗になりましたね~!」と、言葉をかけられると凄く嬉しくて、次も頑張ろう!と励みになります。出来上がった時の「達成感」と「爽快感」は、職人だから味わえる醍醐味と言えます。ぜひ左官に興味を持って頂き、ものづくりの達成感を一緒に味わってくれる仲間が増えていくことを願っています。

小原さん

 

 

 

有限会社小沢工業
小原達郎さん

 

 

若手を育てる

「料理人から一転!左官に魅了され職人技を極める道を歩む」
左官工・経理 嶋田綾子さん

左官の仕事は、塗り壁やタイル貼り施工・基礎や外構・屋根工事など多様なため、幅広い知識と技術が求められます。季節や天候の影響を受けやすく、作業によっては大変な工程もありますが、左官仕事は“仕上げの要”であり、最終的な仕上がりを自分の感性で表現できる所がとても魅力的です。お客様の要望を形にすることはもちろん、想像していたものよりイメージを超えて良いものができた時には何とも言えない喜びを感じます。

嶋田さん

左官職人になって10 年経ちますが、実は左官をする前は県外のスペイン料理店で働いていました。地元島根に帰って自分のお店を…と思った時、当時自分好みのスペイン風の壁やタイル仕上げができる施工会社が見つからず、もともと内装に興味があったので、それならば「自分でつくろう!」と思い立ち、30 代半ばで左官職人を目指す決意をしました。

ふたり
せんせい

建築に携わる方から「しっかりと基礎知識や技術を学校で学ぶべき」とアドバイスを受け、1 年間専門の技術を学ぶ育成学校へ通いました。建築全般に関する実践的な知識を学ぶことができたので、卒業後の就職先では先輩よりも材料の特性や扱い方が分かる場面もあり、即戦力としてスムーズに職場に馴染むことができました。左官の仕事を目指す方には、ぜひ専門的な知識が学べる育成学校へ通うことをお勧めします。年齢性別関係なく、最初は全く知識がなくても施工実習で技術がしっかり身につくので誰でも左官職人を目指すことが可能です。

実施

女性の左官職人は少ないですが、女性だからと言って特別に困難を感じることはありません。現場には優しい男性がたくさんいますから!タイル貼りの内装は水回りに多いため、奥様のご要望を叶える際は女性同志だからこそ共感できる感性や、使い勝手の良い提案ができることは利点だと思います。

いつのまにか「自分の店を出す!」ということよりも、「もっと色んな建物をつくりたい!」という想いが強くなりました。今では左官の面白さにはまり、毎日楽しく仕事をしています。近年、店舗や住宅で左官仕上げを意匠的に取り入れるところも増え、注目度は増しています。少しでも興味があれば、国の助成金制度や支援なども充実しているので、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。

嶋田さん2

 

 

 

嶋田建築
嶋田綾子さん